1/4ページ目 市丸が総隊長の不興を買ったらしいという噂を耳にしたのは、それからそう日も経たない頃だった。 彼が総隊長の機嫌を損ねることなど珍しくはないので最初は気にも留めなかった日番谷だが、その内容を聞いて思わず顔を顰めた。 市丸が総隊長の介した見合いを断わったらしい。 その『見合い』に心当たりのあった日番谷だが、それだけなら祭りの日に本人も暗にそう言っていたし、よくある話で終わったろう。 だが噂はそれだけでなく総隊長の不興の理由も別にあった。 市丸は相手の女性を手篭めにしておきながら見合いを断わったというのだ。 娘を疵物にされて親はそうとう頭に来たのだろう、総隊長に処分を求めてきたらしい。 「バカじゃねーの、あいつ」 もともと彼の女性関係は軽蔑の眼差しで見ていたので今更驚きはしなかったが、女日照りというわけでもないだろうに、と日番谷は節操のない同僚に呆れた。 むしろ少しは絞られたらいいとまで思っていた。 だが日番谷の思いとは裏腹に、数日後、娘の親が処分の申請を取り下げたことを同じように噂で知った。 その理由についての憶測が飛び交い、この醜聞を面白おかしく、また華やかにしているようだったが、日番谷はさして興味もなかった。 真実など分かりはしないし、大体一人の女をどうにかした程度の悪行で護廷の隊長の首が飛ぶなどありえないのだ。 それくらいには隊長格は経験と才能を求められる希少な存在だった。 だから付け上がるのかもしれないが。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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