NOVEL 1

【雪の女王 /藍日←市っぽく。鰤映画感想SS】
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なんだか面白いことになっているよ、と藍染に誘われて市丸が彼の私室を訪れると、わざわざ運び込まれたのだろう大きな画面が用意されていた。
そこに映っていたのは、どういう形で入手しているのか市丸には見当もつかないが、今現在リアルタイムで起こっているらしい尸魂界でのいざこざであった。
いや、『いざこざ』などという小さなものではなく瀞霊廷全体を脅かすような大事件だ。
「日番谷はんを処刑なんて、正気やろか」
ただでさえ戦力低下も著しい護廷で、さらに隊長一人を失うのは辛い筈だ。
全容も分からない状況での処断は早計ではないだろうか。
市丸には事の経緯など知るよしもないが、自分たちは何も働き掛けておらず、日番谷自身に反逆する理由があるとも思えない。
だが、しかし。

「もしかして藍染はん、何かしはった?」
「人聞きの悪いことを言わないでくれないか、ギン。ただ虚圏に面白そうな魂魄があったから、そのまま放置していただけだよ」
悪びれもせずそう答えた男に、相変わらずやなぁとのんびり思う。
「アーロニーロの『海燕』のように、何かしらの理由で消滅する筈の死神の魂魄がこちらで再生することもあるのだろう。それがたまたま、日番谷くんと因縁があったらしいよ」
『何かしら』と濁してはいるがその理由や、ましてや日番谷との因縁などの詳細をすでに把握しているのではないだろうか。
根拠はないが、この男の情報に対する執着は凄まじい。
王印についても同様だろう。

「ほなら氷輪丸が2本あるんは何故です?」
「……ギン、君はなんでも私が裏で糸を引いてると思っているようだね」
「ちゃいますの?だって日番谷はんが斬魄刀を手に入れた頃なんて藍染はんに言わせればごく最近ですやろ。すでに隊長やったんやから何かしらの細工なんて簡単やないですか」
「流石の私も他人の斬魄刀をどうこうすることはできないよ」
「せやかて同じ斬魄刀が2本なんてありえへんでしょ」
「そうだね。普通ならありえない。――――斬魄刀自身がそう望みでもしない限りはね」
「それこそありえへん。斬魄刀は自分をよう使役してくれるたった一人の主を求める、ただそれだけが欲望の最優先事項やのに、わざわざ二人の持ち主望むなんて」
斬魄刀自身が高い能力を持つ場合は多少その『最優先事項』が複雑になることはあるかもしれないが、結局のところ相手を見誤るということは有り得ないのだ。
それこそ迷うことすらない。
眉根を寄せ釈然としない表情をした市丸に、藍染は微笑んだ。
いつも感情の読めない能面染みた笑みを貼り付けている市丸だが、小さい頃から知っているせいか藍染には少し子供っぽい表情を見せることがあった。
酷薄な男でも子飼いの忠実な部下はそれなりに可愛いらしい。

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