NOVEL 1

【子供の本音 /藍日・R18】
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「大丈夫かい?」
すぐ近くで聞こえた、心地いいテノールにぼんやりとしていた意識が引き戻される。
どうやら気を失っていたらしい。
「……………っ」
大丈夫じゃない、と答えようとしたが喘ぎすぎて喉が枯れ、しゃべれなかった。
下肢も重くなんだか痺れているように動かない。
そんな自分の様子に隣りに横になっていた藍染が微笑した。
身支度も何もしていないから、きっと事後すぐなのだろう。
「ごめんね、日番谷君。無理をさせているのは承知しているんだけれど……」
分かっているならするなよ、と思ったが口で言うほど反省していないのは明らかだ。
でなければこう毎度同じ暴挙を繰り返す筈がない。
声が出ないのでこれ見よがしに溜め息を吐いてやると、男が苦笑した。
本当にいい加減にして欲しい、と思わなくはない。

正直なところ、日番谷はセックスが好きではなかった。
嫌悪しているというほどでもないが、進んでしたいわけでもない。
理由は簡単で、自分の身体ではキツイのだ。
もしかしたら相手によるのかもしれないが、今のところ目の前で不機嫌そうな己を窺っている、もう結構な歳の男しか知らないので、日番谷は優しいセックスというものがよく分からなかった。
最も他の誰かと試したいとも思わないのだから仕方ない。
だから比較のしようはないが、日番谷にいわせれば藍染のそれはある意味最悪だった。

性技には長けていると思う。
無駄に歳を喰っているわけでなく、確かに気持ちいいと思う。
しかしそれは最初のうちだけで、過度の刺激に悶えていると幼い日番谷の身体は酷く疲弊する。
また小さな肢体は藍染を受け入れるのも難しかった。
腹の中がソレで一杯になるような感覚は、実際その通りなのだろう。
藍染との行為は痛みのみではなかったが、過ぎた快楽こそ苦痛だった。
それに―――――。

先ほどまでの行為――――日番谷の記憶のあるうちだけのことだが――――を思い返し、少年は眉間に皺を寄せた。

―――――手が、届かないのだ。

二人の体格差を考えれば仕方のないことだ。
しかし身体は繋がっても視線は合わないし、抱き合うことなど出来ず、日番谷は申し訳程度に何かしらに縋るしか出来ない。
結局、恋人らしいのは最初だけで、そこから先は何一つ思い通りにならず過ぎた快楽に翻弄され苦痛に喘ぐだけになってしまう。
そのせいか、藍染のいいように弄ばれる人形のように錯覚するのだ。

だから好きになれないのだろう。
――――充足感よりも上手く受け止められない己の幼さばかり曝け出されるようで。
それでも拒絶しないのは他ならぬ藍染に求められるからであり、それなりの付加価値があるからだ。
しかし藍染自身はセックスにいろいろ自信があるようなので、幼い恋人がそれ事態に不満を持っているとは思いもよらないだろう。


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