NOVEL 1

【Hの世界 /草日】
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氷の華がシャリン、と戦場には不似合いな澄んだ音を立てて崩れた。
日番谷の霊力もそろそろ限界に近い。
体が軋むのを感じる。

―――――もう、ダメなのか。

これが自分の限界なのか。

憎い敵を眼前にして。

流れる己の血が目に入り、視界が悪い。
だが目が霞むのはそれだけが理由ではないだろう。

一瞬、気が遠くなった。

そのときだった。


――――日番谷。

遠くで声がした。

どこかで聞き覚えのある、懐かしい声だった。

――――日番谷!


『誰…だ…?』

――――冬獅郎!

名を呼ばれて、閉じかけた瞳を開く。


すると、そこは自分のよく知る真っ白な氷原だった。
内的世界。
生きるものの存在しない、自分の世界。

斬魂刀と自分以外は誰も入りこむことの出来ない筈のその場所に、男が立っていた。

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