NOVEL 1

【二律背反 /藍日】
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「宜しく頼むよ」

「はい、じゃあ行ってきますね」

そう明るい笑顔を向けてから、自分の部下・雛森桃が執務室から出てゆくと、ちょうど訪れていた十番隊の同僚に向かって藍染は言った。

「すまないね、日番谷君」

「…いや、別に、雛森に用があったわけじゃねぇし」

日番谷が書類を届けに五番隊に自ら足を運んだのはつい先ほどのことだ。
なんのこともない、普段のやり取り。
だが藍染は、零れ落ちそうなほどの大きな翡翠の瞳がじっとこちらを見ているのに首を傾げた。

「……どうかしたかい?」

あんまり顔を凝視されるので何かついているのだろうかと居心地悪く頬に手で撫ぜた。
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