1/3ページ目 もし君の生まれおちた場所が地獄だったなら、 あるいは 彼女と巡り逢いさえしなければ、 きっと君は最初から 私の隣りにいただろうに。 ――――それが君の不幸。 「君はどうして隊長職を受ける気になったんだい?」 それは噂の天才少年が、史上最年少で隊長の座についたときにした問いだった。 まだこの平穏が永久に続くと信じていただろう過去のこと。 幼馴染とのこともあって隊長職につく前から何かと面識のあった藍染に、日番谷はそれなりに敬意と親しみを持っていたようだった。 『生意気』だと噂の少年隊長は藍染の不躾な質問にこちらを一瞥すると、慣れない敬語で言った。 「……この世界を護りたいと、思ったんです」 そのために、オレの力が役に立つなら、と。 「この世界は日番谷君が思っているほど美しくはないよ? 隊長になったらそれを実感するだろう」 「――――知ってます」 何かを思い返すその翡翠の瞳は、痛みと、わずかな黒い感情を浮かべる。 一瞬浮かんだその色に、藍染はひどく惹かれた。 抉って引き出しにしまっておきたいと思うほどに。 「………この世界は歪んでる」 内心をまったく表に現すことなく笑みを浮かべている藍染に、日番谷は言った。 「でも美しいと信じている者が居て、そいつがこの世界を守りたいと思っているなら、自分の力の及ぶ限りは、そう信じさせてやりたいんです」 まるでそうすることで、自分もそう、錯覚できるかのように。 「何より皆に『この世界が正しい』と思わせることが『隊長』の役割じゃないんスか?」 「―――――そうだよ」 そう、口角を上げて皮肉な真実を口にする少年隊長に、藍染は困ったような表情をつくって答えたのだった。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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