NOVEL 2

傷痕 /藍日・R16
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あの男は これで満足なのだろうか。












「う〜……やべぇ、飲みすぎたかも……」

阿散井恋次はふらふらとおぼつかない足取りで夜道を歩いていた。
ここのところ酒量の増えた乱菊にいつものごとく無理矢理付き合わされたのだ。

これでは明日の勤務に支障が出てしまいそうだ。
そういうことにうるさい自分の上司のことを思うと阿散井は頭が痛くなった。
――――最もそれ以前から酔いのせいで頭はガンガンしていたのだが。


それでも乱菊に付き合ってしまうのは、彼女の心労を少しでも軽くしてやりたいと思うからだった。

乱菊はもともと酒好きだったが、以前はこれほど酷くはなかった。
酒は楽しく飲むのが信条だった彼女が荒れるようになったのは、あの戦いの後からだ。
尸魂界と現世と虚圏を巻き込んだ大きな戦い。
かろうじて辛勝したが、護廷に甚大な被害を与えたのは確かだった。
下っぱの死神たちはあまりにも規模が違いすぎて実感がないようだが、阿散井たち隊長格はあの戦いで失ったものの大きさを実感せずにはいられなかった。

大切な命がいくつも失われた。

乱菊も、乱菊にとって大切な者も、多くのものを失った。
元に戻れないほどに。





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